一心不乱
日曜日, 18 12月 2005
息子の空手の昇級試験に同行しました。道場につくなり、いきなりの緊張感。5歳の子供にこの緊張感はどう響いているのか、とても興味があります。その心情、覗いてみたい。はっきりいえばとても軽い気持ちで同席していました。「週末のパパ」よろしくビデオカメラなんかでちまちま録ったりしながら始めのうちは「大きくなったもんだ」くらいの心境で。ところが、試験が進むにつれ緊張感は高まる一方、師範が子供たちに投げかける一言一言がまるで同席した親たち大人に向けられているんじゃないかと思えるような刺さる言葉で重く響く。そして最後の「組み」。実際の組みを、手抜きなくやる。僕の息子はまだ白帯の初心者、それでも、組みになれば時々「バシッ」「ドスッ」という鈍く、痛そうな音が道場に響く。思わずカメラの手が止まる。それが、小学校の上級ともなると、あきらかに当たっている。見る見る体のあちこちが赤くアザになっていくのがわかる。血も見える。しかし、子供たちの全員が一心不乱だった。だれひとりと「遊んだ」気持ちがうかがえない。負けるもんかという気迫で満ちている。組みが終わって礼をするまで痛がったりなどしない。その様子はそこに居合わせたほとんどの大人たちの涙を誘った。号泣する方まで何人もいた。僕も思わず、涙をこぼしそうになって天を仰いだ。この大人の涙は単にその子供たちのけなげな姿に打たれたというものだけではない気がします。大人になった自分たちが忘れたものを気づかされている瞬間を目の当たりにしているようなもの。昇級試験という場では大人も多いに学ばせてもらったようです。「一心不乱」ということを。「礼に始まり、礼に終わる」ということを。つまらないことに振り回されているのは子供たちではなく、大人のほうだと。つまらないプライドや、安っぽい考えで「礼」や「儀」をいつのまにか忘れてしまったことを。