想像力
金曜日, 1 2月 2008
あるクライアントの方のお仕事の運び方がとても上手でとっても楽しい。そのお仕事のミーティングの場所は毎度といっていいほど場所が変わる。ある時はお忍びの場所のような喫茶店。ある時は僕のスタジオ。ある時はその方のオフィス。そしてある時はファッションビル。やろうとしていることはある意味いつもと変わらないプロモーションのデザイン。それがWebなのか、映像なのか、はては展覧会のようなものかはまだ決まっていない。「何をやるか?」を決めてからデザインを考えようという従来のやり方ではなく、何か、を大切にしながらデリケートに物事を運んでいる。何が楽しいのか。何が役に立てるのか。そのプロジェクトは何を残すのか。それらのひとつひとつを大切にしながら着地点を見出そうとしている。ミーティングの度に脳が想像のためにフル稼働しているような進み方。ものづくりの現場で「つくる側」に必要な絶対的なものとして「想像力」だと僕は思う。「創造力」が圧倒的なデザインの力だとすれば、「想像力」は実現のための圧倒的な力となる。「こういうことを言ったら、どうなるか」「こういうことをやったら、どうなるか」「これを創ったら、どうなるか」の想像力。本来、こういう「想像力」はコミュニケーションの本来の中身だった気がします。つまり「以心伝心」とか「モラル」だとか「筋」だとか、「思いやり」だとか、「優しさ」とか。それらは想像力を駆使して、他人と分かり合うことを自然としていたはず。反対に、うまくいかない仕事、楽しくないコミュニケーションのそれには「想像力」というものが感じられない、ということではないかなあ。「そんなメールを送ったら相手はどう思うか」「そんな頼み方をしたら相手は気持ちよく引き受けるか」「見えないところでその人がどんなことをしているか」。それを考えると、自分でもおのずと、おいそれとメールなんか書けなくなる。フレッツ光の通信速度がそこにあったとしても、想像することが先にある。携帯電話がポケットにあっても、どんな声をかけようか、といろんな想像をしてから、となる。まず、想像する。話はそれからなんだ、と。