犬といのちとハイチと毎日
火曜日, 9 2月 2010
先日、知人の石黒さんの家のセンパイ(石黒さんの愛犬)を一晩預かった。その時に石黒さんから一冊の本をいただいた。渡辺眞子さん、山口美智子さん、石黒さんが作った本「犬と、いのち」。表紙の可愛らしい写真や丸ゴシック体のタイトル。その装丁からは、その後に続く内容におおよそ結びつかない愛らしさが漂う。そして、読んだ。読後、僕は何故か先だっての「ハイチ義援金」を思った。話は犬から少しそれる。僕はこの日記のほかにTwitterをしている。先だって起きたハイチでの出来事。僕のTwitterには、リアルタイムに地球の裏側で起きているその凄惨な事に「義援金を!」「クリック募金を!」と次から次へつぶやきが入ってきた。中には本人には自覚がないであろう、軽率なことととれるような言葉も入ってくる。ジャーナリストとして仕事をしている方が「これはヒドイ!」なんてわざわざWebからコピーした写真を添付してまでつぶやいているのを見て、さすがにいたたまれずフォローをはずした。僕は、以前仕事でハイチを訪れている。その時は政治も不安定で極度のインフレ状態にあったが、そんなことはおかまいなしに南国特有ののびのびとした雰囲気に羨ましいとさえ思ったほどだ。宿泊していたホテルのすぐ近くに、朝から晩まで椅子に座って歌を歌っていたおじいさんがいた。何度か話した。言葉はよくわからなかったが、大笑いして一緒に果物をたべた。そして、今回の災害。僕は何もできない。たくさんのいい思い出があって、いかんともしがたい思いに駆られながら、何もできない。ニューヨークのテロの時もそうだった。何年も住んでいて、街の隅々に思い出が残っている場所で起きている未曾有の出来事に、僕は何もできなかった。話を「犬と、いのち」に戻したい。たくさんのペットが捨てられているということはこれまで何度も報道などで耳にしている。ほんの少し頭を働かせれば、その捨てられたペットがその後どういう末路をたどるのか、想像できる。僕は思う。人はできることはたくさんあるけれど、一方でできることは限られてもいる。僕の家には猫がいる。家に行くと、ちょこんと玄関に座って「おかえり」と言っているような気がするほどの愛しい姿だ。子どもたちも出迎える。会社に行けば待ってましたとばかりに次から次へ進捗の仕事のファイルを持ってくる。大学に行けば教え子たちにあれこれと質問攻めにあったりする。この本を読んで、身の回りの、ひとつひとつを大切にしようと思う。ショックを受けるであろう文章や写真も目をそらさずに多くの人に読んでもらいたいと心から思う。ハイチにもニューヨークにも何もできないけれど、迎えてくれるたくさんのことには優しく答えることはできそうだ。僕らは優しくなれる想像力を持っている。そして、それらひとつひとつを毎日、大切にすることはできそうだ。渡辺さん、山口さん、石黒さん、いい本をつくってくれてありがとう。