プロジェクションマッピングというカテゴリ

2日間で5万2,000人の動員。10月11日と12日に金沢で行われた金沢城プロジェクションマッピングが残した数字である。Apple Storeの新製品発売の行列に引けをとらないどころか、ちょっとしたパニックと言えるほどの行列がお城から街のほうまで伸びた。開催1日目には予想以上の観客が殺到し、警察が出動し、入場規制せざるを得ない事態になり、たくさんの方々に残念な思いをさせてしまった。いち関係者として心よりお詫びしたい。製作者としては申し訳ないと思う反面、うれしい悲鳴だったというのも正直ところではある。自身は総合監修という贅沢な立ち位置からこの騒動を眺める幸運に恵まれた。なんとも響きのいいポジションに見えるけど、実際のところは重箱の隅をつつく係のようなものだ。さて、冷静になって考えれば「プロジェクションマッピング」なんていう思い切り技術用語のような名称が、子供からおじいちゃんまで広く知れわたっていることに驚く。それが建物に投影する大きな映像、という認識がきちんと伝わっている。ビルなどへのものもあるが、お城とかになればそれはそれは幻想的かつスケール感のあるものに違いない、というのを説明なしに広めることができているのが、驚きなのだ。ここ10年くらいの中では映像業界ひさびさのヒットなのだ。東京駅のものや、福島県の鶴ヶ城のもの、海外でも活発に行われた。最先端の映像が好きな人たちはすでにもう「古いもの」になっているかもしれない。でも、そこはひとつ映像人としては大きな功績に拍手を送りたい。だって、新しいカテゴリが生まれたから。できることなら一過性のものではなく、いつか「名作」なんていう風に人々に語り継がれるようなものがあってほしい。まるでオリンピックの開会式のように「あの時のプロジェクションマッピングはすごかった」と。

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